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篠原 孝司; JT-60チーム
Journal of the Korean Physical Society, 49, p.S56 - S62, 2006/12
JT-60の最新の研究成果として、高ベータ放電(規格化ベータ2.3)を長時間(電流緩和時間の約13倍)維持したこと,長時間放電に伴う粒子の壁飽和の観測などについて報告する。また、現在設置が進行中であり、最新のプロジェクトであるフェライト鋼設置によるトロイダル磁場リップル低減について、その位置づけ・効能,設計検討について発表する。その際、このプロジェクトに影響を与えたJFT-2Mにおけるフェライト鋼設置に関する先駆的成果についても報告する。
藤田 隆明; JT-60チーム
Nuclear Fusion, 46(3), p.S3 - S12, 2006/03
被引用回数:8 パーセンタイル:27.96(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uにおいては、加熱パワーの入射時間を10秒から30秒に伸長し、電流拡散時間を超え、壁飽和時間に近い時間スケールでのプラズマ特性の研究を開始した。加熱装置の入射時間は順調に伸長し、入射エネルギー350MJを達成した。規格化ベータ値2.3を22.3秒間維持するなど高ベータの維持時間を大幅に伸長した。また、負磁気シアプラズマ及び弱磁気シアプラズマにおいて、完全電流駆動に近い状態での高自発電流割合の維持時間も5.8秒及び7.4秒まで伸長した。いずれの場合も電流分布は定常状態に達し、高ベータ,高自発電流割合の長時間維持に明るい見通しを得た。長時間スケールでの制御性の研究のため、電流分布の実時間制御システムを構築し、低ベータプラズマで実証した。高密度放電を繰り返すことにより、壁の粒子吸蔵量が飽和する状態をJT-60で初めて得た。壁飽和状態でダイバータ排気による粒子制御を実証した。ダイバータ板へのパルス的な熱負荷のない静かなHモード(QHモード)を初めて表面のトロイダル回転がゼロに近い状態で実現した。
竹永 秀信; 仲野 友英; 朝倉 伸幸; 久保 博孝; 木島 滋; 清水 勝宏; 都筑 和泰; 正木 圭; 田辺 哲朗*; 井手 俊介; et al.
Nuclear Fusion, 46(3), p.S39 - S48, 2006/03
被引用回数:18 パーセンタイル:52.36(Physics, Fluids & Plasmas)長時間放電におけるグローバルな壁飽和機構を解明するために、第一壁での局所的な壁飽和時間を評価した。局所的な壁飽和時間は、第一壁への粒子束とそこでの吸収率及び最大粒子吸収量により評価可能である。第一壁への粒子束は、中性粒子輸送解析コードDEGAS2を用いて評価した。その際、プラズマパラメータは2次元流体ダイバータコードUEDGEで評価した。D発光強度分布が実験と合うようにDEGAS2で評価した壁へのイオン束と中性粒子束を用いて、壁での吸収率を10%、壁での最大粒子吸収量を110m(実験室データをもとに評価)とし、局所的な壁飽和時間を評価した。その結果、ダイバータ領域では1秒以内に壁飽和に達していることが明らかになった。また、バッフル板は10秒程度、主プラズマまわりの壁は100秒程度で壁飽和に達すると評価された。バッフル板での粒子吸収は、10秒程度の時間スケールでグローバルな壁飽和が観測された実験結果と関連していると考えられる。一方、主プラズマまわりの壁での粒子吸収は、放電を繰り返すことによりグローバルな壁飽和状態に近づいていくことと関連していると考えられる。これらの結果をもとに、動的な粒子吸収特性を示す領域と静的な特性を示す領域によりグローバルな壁飽和が起こるというモデルを提唱した。
竹永 秀信; 朝倉 伸幸; 東島 智; 仲野 友英; 久保 博孝; 木島 滋; 大山 直幸; 諫山 明彦; 井手 俊介; 藤田 隆明; et al.
Journal of Nuclear Materials, 337-339, p.802 - 807, 2005/03
被引用回数:14 パーセンタイル:67.75(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60Uでは、高性能プラズマの電流拡散時間以上の定常維持及びプラズマ壁相互作用の長時間スケールでの変化の解明を目的に、放電時間を従来の15秒から65秒へ、NB加熱時間を10秒から30秒に伸長した。本論文では、長時間放電を用いてダイバータ板・第一壁での粒子吸収率や不純物発生率等の長時間スケールでの変化、及びその粒子バランス,プラズマ性能,粒子挙動への影響について明らかにした。長時間放電実験の開始時には、ほぼ一定のガスパフ量で30秒間密度が一定に保たれており、粒子バランス解析からこの時のダイバータ板・第一壁での粒子吸収量はダイバータ排気量より大きいと評価される。数ショット長時間放電を繰り返した後の放電では、密度を一定に維持するためのガスパフ量が減少し始め、最終的にはガスパフなしでも密度が上昇した。この時の粒子バランス解析は、壁での粒子吸蔵量が飽和状態にあることを示唆している。このように放電途中に粒子吸収率が大きく変化する現象が、放電・加熱時間を伸長することではじめて観測された。粒子吸蔵量が飽和状態にある場合には、主プラズマ周辺での圧力の低下,タイプIII ELMの出現が観測された。また、X点近傍のCII発光強度や内側ダイバータでのCDバンド光の強度が、粒子吸蔵量が飽和状態になる前から増加し始めることが観測された。
竹永 秀信; 仲野 友英; 朝倉 伸幸; 久保 博孝; 木島 滋; 清水 勝宏; 都筑 和泰; 井手 俊介; 藤田 隆明
Proceedings of 4th IAEA Technical Meeting on Steady-State Operation of Magnetic Fusion Devices and MHD of Advanced Scenarios (Internet), 8 Pages, 2005/02
長時間放電における壁飽和時間を評価するために、中性粒子輸送解析コードDEGAS2を用いて壁への粒子束を評価した。その際、プラズマパラメータは2次元流体ダイバータコードUEDGEで評価した。ダイバータ部のD発光強度はUEDGEで求めたダイバータ板への粒子束で説明可能であるが、外側バッフル板近傍と主プラズマまわりのD発光強度を説明するためには、外側バッフル板と主プラズマまわりの壁での粒子ソース(全体の6%程度)を考慮する必要がある。D発光強度分布が合うようにDEGAS2で評価した壁へのイオン束と中性粒子束から壁飽和時間を評価した。ここでは、イオンと中性粒子の壁での吸収率は10%とし、壁での単位面積あたりの吸収量は実験室データをもとに110mと仮定した。ダイバータ領域では1秒以内に壁飽和に達している。バッフル板では、10秒程度、主プラズマまわりの壁で100秒程度と評価される。この結果は、10秒程度の時間スケールで410個の粒子吸収で壁飽和が観測された実験結果と矛盾しない。また、主プラズマまわりの壁での粒子吸収は、放電を繰り返すことにより壁飽和状態に近づいていくことと関連していると考えられる。
朝倉 伸幸
Plasma Physics and Controlled Fusion, 46(12B), p.B335 - B347, 2004/12
被引用回数:18 パーセンタイル:51.13(Physics, Fluids & Plasmas)本発表では、最近のリミタ及びダイバータトカマクの長時間放電実験における周辺プラズマと対向材の水素吸着についてまとめる。特に、JT-60Uでは昨年度から長時間運転(最大65秒)を開始した。比較的高密度の高閉じ込めHモード放電を30秒間維持し、これを繰り返す実験を行い、ダイバータ及び第一壁の飽和現象とダイバータプラズマの変化を調べた。ダイバータ排気とともに多量の重水素ガスパフ(0.5と1.5g)を行った実験を続けたが、飽和現象は見られず、両者とも約半分の重水素がダイバータ部に吸着した。しかし、ダイバータ排気を停止した放電の後では吸着量は低下した。ダイバータ低温部(プライベート部)での吸着量が増加し飽和に近づいたと考えられる。さらに放電中の飽和現象もダイバータのプライベート部で観測された。局所的な粒子リサイクリング束と炭素発生の増加が観測されたが、30秒放電ではダイバータ全体の5-10%程度と小さい。しかし、ELMの性質が変化し、X点付近の周辺における中性粒子密度の増加あるいは、電流密度や圧力分布の変化により、周辺プラズマの閉じ込め特性が劣化すると考えられる。
榊原 悟*; 栗原 研一
プラズマ・核融合学会誌, 80(5), p.364 - 371, 2004/05
磁場閉じ込めプラズマ核融合装置における磁気計測の最近の進展について解説する。長時間あるいは定常運転におけるプラズマ制御や平衡物理量評価に向けた検討が進む中で、長時間積分器の開発が一つの重要な課題となっている。また、核融合中性子の重照射環境下においても耐久性のある磁気センサー開発も同様に重要な課題である。本解説では、これら長時間積分器及び磁気センサーについて現状を概観する。
石井 康友; 安積 正史; 岸本 泰明; Leboeuf, J. N.*
Nuclear Fusion, 43(7), p.539 - 546, 2003/07
逆転(負)磁気シアプラズマで重要となるダブルティアリングモード(DTM)に新しい磁気再結合現象を伴う非線形不安定化過程が存在することを明らかにした。この非線形不安定化過程は、抵抗性時間スケールでの長時間成長における、磁気島の三角変形に伴った局所的な電流シート(電流点)形成に起因する。その結果引き起こされるDTMの急激な成長領域では、成長率の抵抗値依存性が非常に弱くなることがわかった。この過程は、JT-60Uの負磁気シアプラズマの低ベータディスラプションで観測されている時間遷移現象と対応する可能性がある。
川俣 陽一; 栗原 研一; 米川 出
平成13年度電気学会原子力研究資料(NE-01-13), p.25 - 30, 2002/09
トカマク装置における磁場測定はコイルを用いて磁場の微分を時間積分する方法で行われるため、ドリフトの少なく許容入力電圧が大きい積分器が不可欠となる。JT-60では電圧-周波数(V/F)変換器により入力電圧をパルス列信号に変換し、パルス数を積算する方式の積分器を3台並列とデジタル信号処理器を組み合わせ、超低ドリフトでかつ入力電圧範囲が大きい積分器システムを開発した。本システムのドリフト低減対策としては、(1)VF変換素子の温度を一定に保持する対策,(2)基準周波数を与えるオフセット電圧の変動を抑制する対策,(3)接地系からのノイズの影響を低減する対策等を行った。この結果、これらの対策かつ接地系の状態が良ければ、ドリフト速度約1.0(Vs/s)を得ることができ、ITERで要求される超低ドリフト積分器を実現した。また、入力電圧範囲を大きく取る対策として、同一の信号を入力電圧レンジの異なる3台のVF変換器に同時に取込み、デジタル信号処理器により入力レンジを超えてない最も入力レンジの小さなVF変換器の積分値を選択する方式により、高精度で入力電圧範囲が大きな積分器システムを実現した。この積分器をJT-60実験に適用して、ディスラプション時の大きな入力電圧があっても精度良く磁場測定ができることを確認した。
川俣 陽一; 米川 出; 栗原 研一
Proceedings of 19th IEEE/NPSS Symposium on Fusion Engineering (SOFE), p.172 - 175, 2002/00
トカマク装置における磁場測定はコイルを用いて磁場の微分を時間積分する方法で行われるため、ドリフトの少なく許容入力電圧が大きい積分器が不可欠となる。JT-60では電圧-周波数(V/F)変換器により入力電圧をパルス列信号に変換し、パルス数を積算する方式の積分器を3台並列とデジタル信号処理器を組み合わせ、超低ドリフトでかつ入力電圧範囲が大きい積分器システムを開発した。本システムのドリフト低減対策としては、(1)VF変換素子の温度を一定に保持する対策,(2)基準周波数を与えるオフセット電圧の変動を抑制する対策,(3)接地系からのノイズの影響を低減する対策等を行った。この結果、これらの対策且つ接地系の状態が良ければ、ドリフト速度約1.0(Vs/s)の超低ドリフトを得ることができ、ITERで要求される長パルス運転でも適用可能な積分器を実現した。また、入力電圧範囲を大きく取る対策として、同一の信号を入力電圧レンジの異なる3台のVF変換器に同時に取込み、デジタル信号処理器により入力レンジを超えてない最も入力レンジの小さなVF変換器の積分値を選択する方式により、高精度で入力電圧範囲が大きな積分器システムを実現した。この積分器をJT-60実験に適用して、ディスラプション時の大きな入力電圧があっても精度良く磁場測定ができることを確認した。
元屋 清一郎*; 日置 敬子*; 鈴木 淳市
Journal of the Physical Society of Japan, 70(Suppl.A), p.139 - 141, 2001/05
濃厚スピングラスFe(NiMn)の長時間緩和現象を時間発展小角散乱法により解析した。20時間に及ぶ緩和過程の解析より、以下の点が明らかとなった。高温強磁性相より低温スピングラス相に試料を急冷すると長距離磁気秩序は消失する。しかし、時間の経過とともに5nm程度の短距離秩序を持つ領域の割合が発達して行く。この結果は、スピングラスの長時間緩和現象は、数nmの磁気クラスターの成長に支配されることを示唆する。
川俣 陽一; 栗原 研一
平成12年度東北大学技術研究会報告, p.110 - 112, 2001/03
プラズマ断面形状を検出し平衡状態を制御するため、プラズマが発生する磁場の時間変化を測定し積分する積分器が必要となる。JT-60では電磁気検出器の出力電圧をパルス列信号(周波数)に変換するVF変換器と、そのパルス列信号をカウントする昇降計数器を組合わせた積分器を磁場計測に使用している。この積分器の誤差要因は、VF素子の非直線性、微小電圧入力時の不感帯、ドリフト及びプラズマ不安定性に伴って発生する過電圧入力による積分値の飛びである。非直線性、不感帯に関してはVF変換素子の冷却及び接地系の最適化等の対策によりほぼ解決したものを製作し、現在JT-60で使用している。残る誤差要因である積分値の飛び防止策として、入力電圧レンジの異なるVF変換器を並列動作させ広い入力電圧領域を持つ長時間積分動作可能な積分器を開発した。本報告では、長時間化に向けた対策と試験結果について報告する。
河野 康則; 千葉 真一; 井上 昭*
Review of Scientific Instruments, 72(1), p.1068 - 1072, 2001/01
被引用回数:35 パーセンタイル:82.19(Instruments & Instrumentation)トーラスプラズマにおける接線ファラデー回転偏光測定に基づく電子密度計測法は、その高い信頼性から長時間運転を行うITERなど将来の核融合装置に適していると考えられている。そこで、JT-60Uでは炭酸ガスレーザを光源とする偏光計の開発を行い、平成9年には本計測法の原理実証に成功している。その後、信号較正精度の向上、真空入射窓でのファラデー回転成分除去のための2波長化、などをすすめてきた。また、長時間連続運転における安定性の実証試験を行い、これまでのところ7時間までの運転データを取得している。講演では、このような最近の進展について報告する。
河野 康則
プラズマ・核融合学会誌, 76(9), p.855 - 859, 2000/09
長時間運転を行うITERなど将来の核融合装置においては、信頼性の高い電子密度計測が必要不可欠である。一方で、偏光法-プラズマ中をトロイダル接線方向に伝搬するレーザ光のファラデー回転角を測定し電子密度を求める方法-は高い信頼性が期待でき、ITERに適する新しい計測法として提案されていた。また、光源レーザとしては、赤外COレーザ(波長10.6ミクロン)が候補に挙げられていた。そこでJT-60Uでは、COレーザ偏光計を新たに開発し、本偏光法の原理実証研究を進めてきた。本稿では、一連の研究成果について解説を行う。
河野 康則; 千葉 真一; 井上 昭*
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.3, p.397 - 401, 2000/00
JT-60Uでは、これまで赤外炭酸ガスレーザ光を光源とする電子密度計測用の干渉計及び偏光計を開発し、JT-60Uでの計測実験を通してそれらの大型トカマクにおける有用性を実証してきた。ここで、将来の定常核融合炉での電子密度計測では、数ヶ月に及ぶ長時間での信頼性維持が重要な鍵となるが、JT-60Uの実験放電時間は十数秒程度ということもあって、この観点での議論は十分ではなかった。そこで、今回の講演では、上記の干渉計、偏光計で得られた計測データを長時間信頼性の面から評価した結果を中心に報告する。
藤田 隆明; 鎌田 裕; 石田 真一; 閨谷 譲; 及川 聡洋; 井手 俊介; 竹治 智; 小出 芳彦; 諫山 明彦; 福田 武司; et al.
IAEA-CN-69/EX1/2 (CD-ROM), 8 Pages, 1999/00
JT-60Uの高プラズマ電流(低q)の負磁気シアー放電により高い核融合性能が得られ、熱核融合反応が主となる条件でDT換算核融合エネルギー増倍率1.25を達成した。高性能を得るためには、広い負磁気シアー領域を保ったままで、q~2の低q領域に到達することが重要であり、その過程においては圧力分布・電流分布の制御により安定性を確保した。排気付W型ダイバータ改造後の実験においては不純物の低減を得て、核融合性能を向上した。Lモード境界の負磁気シアー放電においてはq~2で発生するベータコラプスにより高性能の持続時間が規定されたが、プラズマ回転の制御により内部輸送障壁を一時的に弱めることによりHモード遷移を誘起し、Hモードによる圧力分布の平坦化により低q領域における安定性を向上した。ELM付Hモードの負磁気シアー放電により、高閉じ込めの内部輸送障壁を5.5秒間維持した。
栗原 研一; 川俣 陽一
Fusion Technology 1996, 1, p.795 - 798, 1997/00
DT長時間燃焼を行うトカマク型装置では、高中性子束場中で、プラズマ近傍の高精度磁場測定が要求されている。JT-60等多くの核融合装置でこれまで用いられてきた「磁場変化率を微小コイルで電圧に変換し時間積分する方式」は、センサーの構造が単純で一旦取付けた後は保守の必要がなく、また放射線による機能変化が小さく耐放射線性に優れていると予想されるなど、他の方式に比べ有利である。しかし、その信号処理に不可欠な積分器がドリフトするため長時間に亘る高精度計測は困難とされてきている。これを解決する目的で、新型のデジタル積分素子の使用を含む様々なドリフト抑制策を施したデジタル積分器を試作開発し、JT-60で試験を行った結果とそこでの問題点の検討を行った結果を報告する。
春山 保幸; 橘 宏行; 小嶋 拓治; 岡本 次郎*; 柏崎 茂*; 松山 茂樹*; 柳生 秀樹*
Radioisotopes, 44(8), p.507 - 513, 1995/08
原子力施設等の放射線場で用いられている機器部品や電線被覆材等の耐放射線性の評価および余寿命の予測に必要な線量測定のため、アラニン/ESR線量計の低線量率、長時間照射下の特性を明らかにした。線量率0.45Gy/h、1.97Gy/hで総線量a/kGy、1kGyを25Cから80Cの異なる温度で照射した模擬環境下で、アラニン線量計の有効性を調べた。また、照射中及び照射後の温度を変えて線量応答の安定性も明らかにした。アラニン線量計の線量応答は、0.45Gy/h、2000hの低線量率・長時間照射下においても、60C程度までであればその線量応答値は1kGyまで線量に直線的に比例し増加した。この線量率及び照射温度範囲では、補正なしで積算線量測定が可能であることが明らかとなった。線量応答値は照射中の温度に依存し、線量率の0.45及び1.97Gy/hで総線量0.1kGy及び1kGyでは、温度係数0.1%/Cの直線関係を示した。
有金 賢次; 村上 滋*; 大友 昭敏; 瀬口 忠男; 高橋 秀武
Proc. of 4th Asian Symp. on Research Reactors, 10 Pages, 1993/00
研究炉において、ポリエチレンキャプセルは誘導放射能が少ないため放射化分析に広く用いられているが、耐熱、耐放射線性が低いため、最大照射時間は20分に限定され、それ以上の照射には主にアルミニウムキャプセルが用いられている。しかし、アルミニウムは照射後の放射能が高く、試料の取扱いのためには1~2日の冷却時間が必要となる。このため、誘導放射能が少なく、長時間の照射が可能なキャプセルの開発が望まれてきた。この要望に応えるため、ポリエチレンナフタレート(PEN)を用い、JRR-4水力照射装置で最大6時間照射可能なキャプセルを開発し実用に供した。また、JRR-3M気送管で最大100時間の照射が可能なキャプセルの開発を、ポリエーテル樹脂(BEK)を用いて行っている。発表では、原子炉照射下におけるPENとBEKの特性、およびキャプセルの開発について述べる。
村上 好樹*; 藤枝 浩文*; 伊丹 潔; 杉原 正芳
JAERI-M 92-145, 46 Pages, 1992/09
国際熱核融合実験炉(ITER)における長時間及び定常運転モードでの運転点をダイバータ熱負荷の観点から最適化した。熱負荷はJT-60Uで得られた経験則を含めて3種類の簡単な比例則を用いて評価した。定常運転時のダイバータ熱負荷は核融合出力に比例して増加し、その傾向は比例則に依存しない。しかし熱負荷の値は750MWで約1.8倍異なるため、今後ダイバータ比例則の精密化が必要であろう。またヘリウム蓄積、閉じ込め、電流駆動効率の改善、不純物注入による熱負荷低減効果も調べ、物理R&Dの目標を明らかにした。長時間運転では2000秒燃焼時のダイバータ熱負荷を最適化した結果、比例則によらず電流駆動パワーが大きいほど熱負荷が小さくなることがわかった。また不純物添加を行わなくても閉じ込め時間を1割程度改善することで、熱負荷を自己点火運転と同程度にできることもわかった。